バンダイホビー事業部開発者インタビュー!
「MGフィギュアライズ 仮面ライダーW(ダブル)」の開発をご担当された野口勉さんに、より深く商品についてのお話を伺って参ります!
各部ギミックから可動、カラーリングの秘密へさらに接近!
──ライダーベルト(ダブルドライバー)をさらに詳しく見せて頂けますか?
ダブルドライバーは、左右が連動して開閉できるギミックが入っています。
──劇中の設定と一緒ですね。
付属のガイアメモリも抜き挿しでき、なおかつベルトの横の「マキシマムスロット」に挿すことで、「マキシマムドライブ」時の再現ができるようにしています。
可動では悟空と同じく、腕を曲げると力こぶができるような表現も盛り込んでますね。
今回は力こぶだけでは無く肘のラインも出るようにし、動かした時にしっかりと輪郭から躍動感が出るように仕掛けてあります。
足の部分も今回初めて、曲げた時に太ももが盛り上がるような仕掛けが入ってます。
可動の解釈として、足が一定角度まで動くと、お尻が可動するような仕掛けが入ってます。
従来のアクションフィギュアでは可動を重視すると、パンツを履いてるような造形となり、可動の為のクリアランスが設けられているのが多いですが、個人的には形として綺麗に見えなかったので、工夫をしています。
今回の可動構造は、クリアランスの部分をできる限り無くす様なデザインが可能で、且つ、可動領域を大きく取れて、人体らしい自然な可動ができるようになります。
──可動に連動してパーツがふくらむのは「PGアストレイ」でも見られましたね。
「可動によって外装甲が膨らむ」というのは、今のMGでは大体盛り込まれていますね (「MG」とは、究極のガンプラを目指したシリーズ名)
MGでのその仕掛けは、どちらかというと機械らしさ、メカらしさを表現してきたと思いますが、今回の「MGフィギュアライズ 仮面ライダーW」では筋肉の躍動感の表現に繋がるものとして導入しています。
──小さな複眼パーツも大変凝っていますね。
実際の商品を組み立てていく過程では、顔の中にシルバーのシールを貼ってから複眼パーツを被せるようにしています。
こういう部分は、シルバーの下地が無いと暗く見えてしまうので、付属のシールを貼ることで太陽が当たると光って見えたり、フラッシュを炊くと目が発光している様な撮影ができたりするようにしています。
クリアレッドの複眼パーツは裏からモールド加工しています。
思い通りに成型できるかは実際にやってみないと最後まで解らない状態でしたが、結果的には思い描いたとおりに作ることができました。
複眼だけでも、何度も修正しながら作っているという感じですね。
無駄なパーツを増やさないように、1パーツで作ろうと思うと、どうしてもモールドはパーツの端に行けば行くほどしっかり入らなくなってくるんです。
なおかつ厚みが出てしまうと、どうしても回りにライン出てきてしまって、正面から見た時に「目の中央は明るいけど、周囲に黒い縁ができる」ので、それが無くなる様に縁の部分を薄くするなど、鬩ぎ合いの中で、最終的には、満足できる形状になるようにしています。
──「球体の内側にモールド」なんて、非常に複雑な形をしてますね。複眼ひとつとっても細部まで苦労とこだわりが……。
細かいところでは靴も、実際の仮面ライダーWのデザインは (くるぶしの上まである)ブーツになっているので、プラモデルでもくるぶしを覆うようなデザインが望ましいのですが、そうすると必然的に足首が可動しなくなってしまうので内側だけスニーカーのように分割して、外側はくるぶしを覆うようなデザインにしました。
プラモデルのデザインも設定に対してできるだけ忠実に再現して、かつ可動できるように見えないところでパーツ構成を工夫しています。
また、足裏ラバーの使用で、非常に安定感があり自立が実現できるようになっています。宙に浮いたポーズや、より躍動感のある不安定なポーズで飾りたいときに、クリアの台座を使用できるように付属しています。
よく動いても、その状態で、しっかり飾れないとお客さんは残念に思うと考えています。
足のつま先を曲げた時には、足裏のディティールをしっかりと分割ラインに合わせる事にも気を使っています。
石森プロの早瀬マサト氏から「足裏の分割ラインはここで分けてほしい」というお話も頂きまして、実際の商品の中でどこまで再現できるかの検証をして、最終的にはこういった(可動と分割ラインの美しさを両立した)部分を表現できるようにしてます。
商品の「飾りざま」を考え「仕掛け」る
足裏にラバーを付けるというのは、よく展示会の時に足裏に両面テープをつけて安定させるというのをしていたので、考えとしては比較的容易に出てきました。
『戦闘メカザブングル』の「ウォーカーギャリア」で(足裏ラバーを)やり始めたのが最初ですかね。
──発想の転換ですね。
「PG アストレイ」でも足裏用ラバーシールが付属して、そのラバーのシールを貼ることで安定感が増すようにしてあります。
アストレイはやはりサイズが大きくかなり重たいので、このようなゴム素材を使うことでポーズをつけても、しっかり立たせて置くことができるようになりました。
お客さんは「作って楽しむ」、「色を塗って楽しむ」、「動かして楽しむ」と色々あると思うんですが、おそらく一番多くの方が最後は、「飾って楽しむ」ことをされると思うので、その時に(足裏へのラバー素材使用は)一番効果的になると思っています。
ものを作る上で「この商品にどのようなポイントを設けるか」を考えていてます。例えば、『エウレカセブン』の時は「リフボード」にしっかりとニルヴァーシュの足の裏とボードがジョイントできるようになっていて、そのボードが水平だけで無く、上下、左右、前後にしっかりと傾けられて、色んな構図で飾れるように「飾りざま」を考えて仕掛けを入れていました。
台座が良く動くというのは、今は当たり前になってると思いますが、確か『エウレカ』以前には(そういう考え)は無かったはずなので、いろんなきっかけでこれからも「飾りざま」は進化していけるかなと思います。
メタリック×マットの質感の差こそ、『仮面ライダーW』のキャラクター性の表現
(バンダイの営業さん)「MGフィギュアライズ 仮面ライダーW」を、はじめて見たときに驚いたのは、ボディの成型色でした。
僕は「MGフィギュアライズ」のコンセプトを3つ掲げているんですけど、まず「キャラクターの再現性」ですね。
多くのユーザーの方がそこに注目されると思います。
あとは「MG」と付くからには「劇中のようなポーズが取れる可動領域」と、「MGフィギュアライズ」ならではの「躍動感あるギミック」というのを掲げています。
それでいうと今回の「メタリックなボディ」は、キャラクターの再現性ですごく大きなポイントになっていて、企画の当初ではメッキで商品を作る話もありました。
一番の考えでは「メタリックの成型色で作りたい」と思っていたんですけど「そんなメタリック感のある成型色なんて見たことないよ」というのが社内の意見でした。
実際には今ここにあるような(机上サンプル)成型色になり、一見塗装しているように見えて社内でも評判が良い色になりました。
今回の成型色はガンプラには無い材料を使った『仮面ライダーW』をイメージした新しいカラーになります。
──「MGフィギュアライズ 仮面ライダーW」専用カラーということでしょうか?
確かに専用カラーなんですけど、ただ単に「専用カラー」というと色がただ違うだけと思われますが、もう根本的な配合も素材も違うという感じです。
ガンプラの時にはガンダムオリジナルの成型材料で、成型の流動性がよくてどちらかというと艶消しの表現を目指しながら作ったものが成型材料のベースになっています。
「MGフィギュアライズ 仮面ライダーW」の場合は、艶があって綺麗なメタリックを表現したいので、前述のガンプラのベースの部分へ、光沢の出るような素材をあえて入れるよう配合し直しています。
──右半身のメタリックに対して、黒い左半身はやや艶をおさえたマットな質感ですね。
黒い左半身は今までのガンプラに倣うような感じでマットに、緑の右半身はメタリックで艶有り、というのが「ルナトリガー」や「ヒートメタル」にも同じく言えて「片側は艶があって、片側が艶消し」というのがそもそも『仮面ライダーW』のキャラクター性の表現なんですね。
静岡での経験や、スタッフの商品への愛情から生まれた成形色
(プラスチック成型サンプルを机上に広げる野口さん)
(サンプルを指差しながら)艶の出方が成型品の素材・配合によって違うんです。
『コードギアス』のプラモデルで「グロスインジェクション」といって、結構光沢のある素材を使った事があります。
あとは『エウレカセブン』でも、表面に艶がある素材を使っていました。
今までは艶を出そうとするとプラの粘度が無くなって、ニッパーで切った時にパリパリと音がするような硬い素材でした。
例えばプラモデルの加工で通常使うカッターやヤスリで削る時に、あまり気持ちいい加工ができなかったんです。
今回の『仮面ライダーW』で使っている成型素材は、ガンプラと同じ粘度で加工性の良さをそのまま保ちながら、こういったメタリックな光沢も出せている、というのが新しい点です。
──「加工のしやすさ」はユーザーにとっても、大切な要素ですね。
メタリックの緑を作る上では、金のパール粒子を使っています。
通常の商品では金のパールは価格が高かったり、ウェルド(樹脂を注型した際、樹脂同士がぶつかるところにできる跡)も出やすかったりするのであまり使わないんですが、今回は樹脂の流れを考慮し、なおかつメタリック感を表現するための工夫を入れて、採用しています。また、見る角度を変えた時に色味が変わるように漂白剤と蛍光剤を混ぜながらメタリックグリーンを作っています。
単純に金のパールを混ぜただけでは、狙っているような「色が変化する」という効果が出てきませんが、蛍光剤は光に合わせて色の出方が変わってくるのでその素材の配合で色の変化を調節していくというのをやってます。
蛍光剤を入れるというのは、思いつきづらいことだと思うのですが、バンダイホビーセンターでの経験や材料加工メーカーさんとの打ち合わせの中から出てくるネタなんです。材料加工メーカーさん自身もプロ意識が強く、商品に対して愛情を持って、より良くしてくれたので、こういったところまで踏み込んでものづくりができています。
──そんな素材の配合から工夫を!すごいですね。
箱を開けた瞬間から目に入る、こだわりの成形色!
こういう肩や胸の金ラインの部分は、黒を入れて黒ずんだ色を再現するのではなく、真鍮を入れながら黒ずませるという方法をとっています。
あとは体の中心のシルバーもパールを使ってますが、パール粒子一個一個の目も細かいものから荒いものもあるので、そういった素材の使い分けをしながら満足のいく成型色を作っていったのが、今回の「MGフィギュアライズ 仮面ライダーW」の特徴のひとつですね。
普段はここまで成型色にこだわりながら開発できるのは滅多にありませんが、今回はそれが商品の売りのひとつなので。
初めは、屋内や屋外といった、場面の違う写真から色を想定して、最終的には候補になる色を持って、実際の「仮面ライダーW」と照らし合わせながら確認して、色を決めていきます。
これも資料の一部なんですけど、素材を微妙に変えて、レイアウトして比較します。
こちら(右側の緑プレート)はゴールドが入っていますね。
通常のガンダムと同じ素材で頑張って作るとこんな感じ(左側の緑プレート)ですね。
──なるほど、比較すると解りやすいですね。
細かいパールだけだと、表面から奥まった部分がほとんど見えないので奥行き感がでないんですが、加減を調整することで、奥行き感を演出することができます。(右側のプレート)の方が表面はうっすら透けている感じですね。
パールが階層になって、より深みがあるイメージが表現できています。
逆に透明になりすぎると、プラモデルの裏側の構造体が透けてしまうので、パールの目の細かさを調整して透けないように工夫もしています。一見、矛盾しているようにも感じますが、難しいバランスなんです。
──お客さまはまず最初にランナーから見ますから、箱を開けてこの成形色を目にしたら、作る側もテンションが上がりますね。
ランナーの配置にも、お客さまへの心配り
あまりこういう材質の話をする事はないんですね。でも、実際には商品作りの過程で、いろいろ考えております。
製造上、どうしてもウェルドが出てしまう部分があるので「ウェルドが出てもそれがメタリックの表現としておかしくない」とか「ウェルドがあることによってメタリック的な表現が強調できる」ように、様々な検討を進めました。
例えば「顔の部分にはウェルド出て欲しくないので、あらかじめウェルドが出やすい位置を事前に作る」とか、見えづらい位置でも「光の加減で、ウェルドをメタリックの輝きに見せる」とか、ランナーの中のパーツ配置の段階やゲートの太さで、樹脂の流れを考えながらものづくりをしています。
話はそれますが、小さいパーツや先端が尖っているものをランナーの外側に持ってきてしまうと、最終的に樹脂が回りきらない「ショート」という成型不良の状態になってしまうんです。
反対にかなり肉厚のパーツも外側に持っていくと冷えた後で「ヒケ」てしまうので、中央にはそういったパーツを持ってくるとか。
今回はそのウェルドの出方を気にしてゲートの位置にも気を配りました。
──ランナーのパーツひとつにも心配りをされているのですね。
ランナーでは同じようにも見えますが、樹脂の流れるバランスを均一にしておかないと、金型に樹脂が流れた時に片側だけ浮いてしまう事が起きるので流れの圧力が同じものを揃えて配置したり、薄いものは注入始めの段階で圧力が掛かりやすい事を配慮したり、静岡で経験があるスタッフと一緒になってランナーのパーツ位置を調整しています。
プラモデルには、ふたつの「愛」
「MGフィギュアライズ」の社内プレゼン時に「キャラクターのプラモデルというのは果たしてありなのか」という大議論になりまして。
最後に僕が言ったのは「(最初からの完成品に対して)プラモデルは自分が愛情を注ぎながら作って最後に完成するものなので、一生懸命作ったものは捨てない。そこにキャラクターに対する愛とプラモに対する愛の、ふたつの愛が存在する」という話を主張して企画が進行しました (笑)
僕も自作のプラモがいくつか自宅にありますが、僕は車が好きなのででき上がってる完成品と自作のプラモを並べて置いてあるんですけど自作のほうが飾っていて愛着がありますね。
──プラモは、自分が手をかけた時間だけ思い入れができますね。
現代には忙しくてプラモを作る時間が無い方も多いと思いますが、プラモを作って楽しかった経験というのは僕自身も持っているので、そういった方も今までプラモに取り組んだ事が無い方も、この機会に楽しんで頂ければいいな。
僕も『仮面ライダーW』を観て、自分が欲しくなる商品を作っている部分もあるので、そこはお客さまにも満足して頂けるんじゃないかと思います。
日常のふとした瞬間に、新商品のことを考えている
──「MGフィギュアライズ」の今後の展望についてお聞かせ下さい。
今まで「商品化検討中」だった「ルナトリガー」と「ヒートメタル」を「東京おもちゃショー」で新商品として展示します。
註) このインタビューはおもちゃショーより前におこなわれました
これによって、3商品の組み合わせで、9フォーム作る事ができます。
気に入った自分だけのフォームを作るなど、プラモだからこその遊びができるんじゃないかと思います。
プラモデルの改造としてのハードルが低くてやりやすいというか、初めての人でもプラモデルの楽しみを味わって頂けると思います。
結果的にどうなるかは解りませんが、「MGフィギュアライズ」の企画と試作品を様々なキャラクターで進めています。
今回『仮面ライダーW』を特撮カテゴリの最初に持ってきたのは、単に現在放映しているからでは無く、『W』自体が平成ライダー2サイクル目の1号ライダー(平成ライダー11代目)なんです。
デザイン自体が1号ライダーのようなシンプルな形なのもあって『W』からスタートさせました。
個人的には、他のライダーもやりたいと思っています。
昭和ライダーも開発をやっていきたいなと思います。
普段ふと立ち止まった時に「アマゾンの色分けどうしようかな……」とか思ってます(笑)
──次に超えるハードルは何になるんでしょうか(笑)
アマゾンの模様は緑ベースに対して赤の斑だったと思うんですけど、シールで模様を貼ると後ではがれる事もありますし「けっこうハードルが高いな、なんとか成型色でああいう色が出せればいいな」など、そういうのを日常のふとした瞬間に考えています。
あみあみのお客さまへ 開発者・野口さんからメッセージ
今回のインタビューでお話させていただいた「MGフィギュアライズ 仮面ライダーW」では仮面ライダーファンの方はもちろん、プラモデルを趣味としている方でも楽しんで頂ける事を思いながら作っています。是非作ってみてください。
──本日はありがとうございました!
専門的な話も、大変解りやすくかつ詳しくお話して下さった野口さんですがその穏やかな口調の裏側には商品・原作への愛情と熱いクラフトマンシップが溢れていらっしゃいました。
インタビューにお応え下さった長谷川淳さん、野口勉さん、貴重な席を設けて下さったバンダイホビー事業部さまへ、この場をお借りしまして あみあみスタッフ一同、心より御礼申し上げます。
(文責・撮影 静メカ)
(C)2009 石森プロ・テレビ朝日・ADK・東映
(C)尾田栄一郎/集英社・フジテレビ・東映アニメーション
※画像は試作品を撮影したものです。実際の商品とは異なります。






























![MGフィギュアライズ 1/8 仮面ライダーW サイクロンジョーカー アクションフィギュア プラモデル[バンダイ]](http://www.amiami.jp/images/amiblo/2010/06/int_rdr20sxcvu/s-01.jpg)
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![MGフィギュアライズ 1/8 仮面ライダーW サイクロンジョーカー アクションフィギュア プラモデル[バンダイ]](http://www.amiami.jp/images/amiblo/2010/06/int_rdr20sxcvu/s-10.jpg)

![S.H.フィギュアーツ ワンピース モンキー・D・ルフィ[バンダイ]](http://www.amiami.jp/images/amiblo/2010/06/int_rdr20sxcvu/s-16.jpg)
![MGフィギュアライズ 1/8 仮面ライダーW サイクロンジョーカー アクションフィギュア プラモデル[バンダイ]](http://www.amiami.jp/images/amiblo/2010/06/int_rdr20sxcvu/s-19.jpg)



